卸売業の課題とERP(基幹システム)を選ぶ5つのポイント
メーカーと小売業者の仲介役である卸売業では、商品の入出庫や受注・出荷の管理など、業務が煩雑になりやすいという課題があります。
卸売業が抱える課題を解決へ導くには、受発注や在庫管理はもちろん、商品のトレーサビリティや正確な需要予測などを行うことが大切です。また、これらの業務を正確に効率よく行うためにはERPの導入が有効といえます。
本記事では、メーカーと小売業者の仲介役である卸売業が抱える課題やERPに必要な機能、ERPを選ぶ際に押さえておきたいポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.卸売業の課題
- 1.1.①商品の動きが見えない
- 1.2.②在庫の状況が見えない
- 1.3.③商品を追えない
- 1.4.④正確な利益を把握しづらい
- 1.5.⑤経理処理が分かりにくい
- 2.【卸売業向け】ERPを導入する際に押さえておきたいポイント
- 2.1.①倉庫・在庫管理
- 2.2.②受注・出荷管理
- 2.3.③追跡・輸送管理
- 2.4.④請求書の発行・売掛金・買掛金管理
- 2.5.⑤販売実績管理
- 3.まとめ
卸売業の課題
ここでは、卸売業が抱える課題について5つに分けて解説します。
①商品の動きが見えない
卸売業は、小売業者に安定した供給を行うために倉庫に商品を保管しています。
商品の入庫や移動、出荷などの管理をアナログで行っている場合、商品の動きをリアルタイムで把握することが難しいという課題があります。管理者と現場とのタイムラグが発生しやすく、人的ミスが生じやすいのも問題です。
②在庫の状況が見えない
仕入れ管理・販売管理・在庫管理は一つのサイクルとして機能しているにもかかわらず、各業務で異なるシステムを使用して管理している場合、在庫の過不足を正確に把握することが困難になります。
在庫状況を正確に把握できないことで過剰在庫につながれば、機会損失の原因に発展してしまいます。
③商品を追えない
卸売業ではさまざまな種類の商品を扱いますが、商品によって製品ライフサイクルが異なります。管理業務が煩雑になりやすく、商品を追うことが難しいのが課題です。
例えば、商品に問題があった場合、すぐに回収したり、原因を特定したりすることが必要です。消費者からの信頼維持やリスク回避のためにも、商品のトレーサビリティの確保は重要な施策といえます。
④正確な利益を把握しづらい
商品の流通過程では、日々多くの入出庫が行われます。伝票の発行が漏れてしまうことも珍しくありません。
そのため、棚卸しを行うまで正しい入個数や在庫数が分からず、締め日まで正確な利益を把握できないことがあります。
⑤経理処理が分かりにくい
商品の販売先は、実店舗を持つ小売店やネットショップ、卸売業者など多種多様です。
販売先によって請求から支払いまでのサイクルも異なるため、経理処理が複雑で分かりにくく、業務が増えてしまうのも課題の一つといえます。
【卸売業向け】ERPを導入する際に押さえておきたいポイント
卸売業の課題を解決するためにはERPの導入が効果的です。ここでは、卸売業向けに、ERPを導入する際のポイントを5つ紹介します。
①倉庫・在庫管理
ERPを選ぶ際は、システム上でリアルタイムに在庫を把握できるか確認することが大切です。
例えば、複数の倉庫や拠点を持つ場合、商品・在庫の管理状況が見えにくいことが課題として挙げられます。また拠点同士で在庫を移管することもあります。
リアルタイムに在庫を把握することで、需給のバランスを見ながら倉庫・在庫管理を適切に行うことが可能です。
②受注・出荷管理
受注から出荷管理までを同一のシステム上で行えるかもポイントの一つです。
入出庫情報が正しく管理・共有されていなければ、注文が発生した際に在庫があるか分からなかったり、重複して出荷したりしてしまうことがあります。
また、注文の追加やキャンセルが倉庫管理者に反映されずに現場の混乱を招いてしまうのを避けるために、受注・出荷管理を一元化することができるシステムかどうか、チェックしましょう。
③追跡・輸送管理
ERPの導入時には内部・外部を問わず、商品の追跡・輸送管理ができるかという点も確認しましょう。
例えば、出荷商品にトラブルが発生した場合、製造元に各過程をさかのぼってチェックしなければなりません。そのためには、いつ・どこに・どの商品が入出荷したか把握する必要があります。
正確な情報を把握するために、サプライチェーンマネジメントと入出荷の管理が一体化していることが大切です。
④請求書の発行・売掛金・買掛金管理
BtoBやBtoCなど、異なる取引形態に対応した請求処理を同一システムで行えることも重要です。
請求処理を紙面上で行う場合、取引先によって使用するフォーマットが異なります。また、受注から納品確認、請求書の発行・送付、入金確認などと業務が多岐にわたる点も課題の一つです。
さらに、請求・支払いの際には上長の承認も必要となり、取引先が増えれば経理や財務の業務負担も増加します。これらの業務負担を軽減して業務を効率化するには、さまざまな取引形態に対応した請求処理を同一システムで行えるかを確認しましょう。
⑤販売実績管理
リアルタイムで販売実績を確認できることも大切なポイントです。現在の利益を把握することは、経営判断を行ううえでの検討材料となります。
しかし、在庫数や利益情報にタイムラグがある場合、状況に合わせた販売計画が立てにくくなります。リアルタイムで販売実績を管理できる機能があれば、今後の販売計画や対策などに関して迅速な意思決定を行うことが可能です。
まとめ
製造業と小売業の間で商品を販売する卸売業では、モノやカネの動きが見えにくく、アナログな手法によって業務が煩雑化してしまいやすいという課題があります。
業務で直面する課題をそのままにしてトラブルを引き起こしたり、取引先に不信感を抱かれたりするリスクを回避するためには、卸売業向けのERP導入によってモノやカネの動きを可視化することが重要です。
なお、伝票情報は後続処理に引き継がれるため、「多重入力しなくてよい」「人的ミスを防げる」といった点も、システムを選定するうえでのポイントです。
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