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オールクラウド化の大きな一歩!基幹システムをクラウド化するメリットとは

DX実現に向けた業務効率化・運用負荷軽減の観点で、多くの企業が社内に構築したシステムをクラウド環境に移行しています。

以前は、社内の経営資源を管理する基幹システムをクラウドに構築するなんて考えられない、という企業がほとんどでした。

しかしクラウドの信用性が高くなるにつれ、近年では基幹システムをクラウドに構築する企業や、基幹業務のクラウドサービスを利用する企業が増加しています。本コラムでは、基幹システムをクラウド化するメリットをご紹介します。


目次[非表示]

  1. 1.ますます加速していくクラウド化
  2. 2.オンプレミスとクラウドはどう違う?
  3. 3.基幹システムはクラウド化するべき?
  4. 4.基幹システムをクラウド化するメリットとは
    1. 4.1.導入期間を大幅に短縮
    2. 4.2.ITリソースのコスト効率化
    3. 4.3.場所の制約のない利用が可能
    4. 4.4.高度なセキュリティ対策
    5. 4.5.BCP対策を実現できる
  5. 5.基幹システムをクラウド化する時の課題
    1. 5.1.周辺システムとの連携
    2. 5.2.コストの想定が難しい
    3. 5.3.機密情報の取り扱い
  6. 6.まとめ


ますます加速していくクラウド化

T投資のトレンドにおいても所有から利用へシフトしており、情報システムのクラウド化が加速しています。クラウドサービスは、「情報システムを短期間で構築できる」「リソースを柔軟に増減できる」「災害対策になる」「場所を選ばずにアクセスできる」といった様々なメリットがあり、企業が抱えるさまざまな課題を解決できると期待されています。

クラウド化の流れは政府機関でも例外ではありません。2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」では、「クラウド・バイ・デフォルト原則」の方針が打ち出されました。これは政府機関が情報システムを構築する際にクラウドサービスの利用を第一候補として検討するというものです。

他にも、度重なる災害発生への対策や働き方改革、コロナ禍によるテレワークの普及といった社会の変化から、クラウドへのニーズが高まり、クラウド化の流れを後押ししてきました。


オンプレミスとクラウドはどう違う?

一般にクラウドとは、サービス事業者が提供するパブリッククラウドを指しています。パブリッククラウドには、サービス事業者が構築したアプリケーションを利用する「SaaS」、開発環境として提供される「PaaS」、サービス事業者がネットワークやサーバー等のITリソースを提供する「IaaS」があります。

クラウドには責任共有モデルという概念が採用されています。これは、サービス事業者と利用者がひとつのシステムをそれぞれが管轄する範囲を分担して運用し、管轄する領域の責任を負うという考え方です。責任分界点はクラウドサービスの種類によって異なります。厳密に言うと利用するサービスによっても異なりますが、ここでは大まかな違いを紹介するにとどめます。

ここではオンプレミス、IaaS、SaaSを比較します。それぞれの違いを表にまとめると次のような形になります。



オンプレミス
パブリッククラウド型 「IaaS」
パブリッククラウド型「SaaS」
ハードウェアの所有権
自社
サービス事業者
サービス事業者
利用者の責任範囲


・インフラ基盤

(サーバー、NW機器等)

・OS

・ミドルウェア

・アプリケーション

・データ

・OS

・ミドルウェア

・アプリケーション

・データ
・データ
導入期間
ハードウェア調達・構築に時間がかかる
オンラインで迅速に構築可能
申し込み後にすぐに使える
導入コスト
初期費用およびハードウェア・ミドルウェア更改のタイミングで費用がかかる
月額課金となるため、初期費用が抑えられる
月額課金となるため、初期費用が抑えられる
業務プロセスとの適合性
独自システムを構築可能
独自システムを構築可能
原則カスタマイズは不可
拡張性
再設計が必要な場合が多い
柔軟にリソースを調整できる
柔軟にリソースを調整できる
利用者の運用作業

・ハードウェア運用や更改

・ミドルウェアのアップデート

・アプリケーションメンテナンス

・データメンテナンス

・ミドルウェアのアップデート

・アプリケーションメンテナンス

・データメンテナンス

・データメンテナンス



基幹システムはクラウド化するべき?

クラウドサービスを積極的に利用している企業でも、最後の砦となるのが基幹システムではないでしょうか。基幹システムは、機密情報を扱っている、データ量・処理量が多い、といった特徴があります。パフォーマンスやデータ保護に対する不安や、従量課金制でどのくらいコストがかかるのかが不透明といった理由で、クラウド化に二の足を踏む企業が少なくありませんでした。

しかし近年は、コスト削減や柔軟性、セキュリティへの信頼性向上などの理由で、基幹システムのクラウド化も急速に進んでいます。


システム基盤の構造が複雑なためにクラウド化に慎重だった金融機関でも、勘定系システムをクラウドへ移行した事例があります。プログラムをコンテナ化し、マイクロサービスの採用により疎結合できる構成にすることで、基盤の管理がしやすく保守性に優れる仕組みができました。単に既存システムをクラウドに乗せ換えるのではなく、クラウドの最新の技術を使うことでシステム処理のパフォーマンスが大幅に向上しました。レガシー化しやすい基幹システムに新しい技術を採用しクラウド化することで、システム変革を実現した事例です。


また、ある企業では約5年間で基幹システムを含む140以上のシステムをAWSに移行しました。初年度は小規模なシステムを移行するスモールスタートでしたが、翌年には売上の3分の1を占めるシステムの移行を実施し、ほとんど問題が発生することなく運用できています。これら一連のクラウド化の取り組みにより、基盤運用に係るコストの総額を40%以上削減させることに成功しました。3~5年ごとに発生するハードウェアの更改がなくなり、必要に応じていつでもサーバーリソースを利用できる柔軟性が運用コストを効率化したことがうかがえます。


こうした事例から読み取れるのは、基幹システムをクラウド化することで、他の周辺システムをクラウド化する以上に運用の効率化に大きなインパクトがあるということです。


基幹システムをクラウド化するメリットとは

基幹システムをクラウド化するメリットには次のようなものがあります。


導入期間を大幅に短縮

オンプレミスの場合、システムを構築するためにサーバーやネットワーク機器等のハードウェアを調達し、設置・配線・設定といったITインフラの構築が必要です。ハードウェアの選定や調達に数か月を要することもあります。一方、クラウドの場合すでにハードウェアは構築された状態のため、すぐにITインフラの利用を開始することができます。これにより、オンプレミスと比較して導入期間を大幅に短縮できます。


ITリソースのコスト効率化

基幹システムはビジネスの成長によって、データ量・処理量が増えていきます。これらは、BI・AIのためのデータ蓄積、大容量ファイル(動画など)の増加、ペーパーレス化などにより、急速なペースで肥大していきます。

オンプレミスの場合、初期構築時に数年先を見越して不足がでないようオーバースペックにリソースを搭載しておいたり、リソースが足りなくなる度に拡張用ハードウェアの調達と作業が必要になったりします。

クラウドの場合は、リソースの増減が柔軟にできるため、必要な時に必要な分のリソースが利用でき、使わないリソースを確保しておく必要がありません。使った分だけ費用が発生するためコストの効率化が期待できます。


場所の制約のない利用が可能

働き方改革やコロナ禍の影響により、テレワークが一気に普及しました。オンプレミスで基幹システムを運用している企業の多くは、VPNを経由して自宅からアクセスすることでテレワークを実現させました。VPNはもともと多数のアクセスを想定したものではないためアクセスが遅延する、VPNのセキュリティ対策が十分でないためサイバー攻撃を受けるといった問題も多発しています。

クラウドサービスは、どの場所からもアクセスできることを前提として、アカウントや端末認証を組み合わせてアクセスを制御する仕組みが備えられています。テレワークの環境下ではクラウドサービスの方がより安定的に安心して利用できると言えます。


高度なセキュリティ対策

「クラウドはインターネット経由でアクセスするから、セキュリティに不安がある」といった話は数年前までよく聞かれましたが、クラウド環境には企業単独では実現できない高度なセキュリティ対策が整備されています。

先にご紹介した通り、クラウドには共同責任モデルが適用されており、セキュリティ対策もそれに準じます。例えば、IaaSの場合クラウド事業者がセキュリティ対策を行うのはハードウェアやネットワーク機器などのインフラ基盤にとどまり、仮想サーバー上のOS、ミドルウェア、アプリケーションに関しては、利用者がセキュリティの対策を行う必要があります。

そのためすべてのセキュリティ対策をクラウド事業者に任せるということはできませんが、クラウド事業者の責任範囲となる部分については、セキュリティ対策に頭を悩ませることもなくなります。


BCP対策を実現できる

現在ではオンプレミスでもデータセンターに設置されるケースが多いため、災害に対する耐性は強くなっています。それでも基幹システムのようなミッションクリティカルなシステムにはBCP対策が必要となります。

被災時の事業継続を目的とした場合、遠方のデータセンターに同じシステムを構築することでBCP対策をとるため、多大なコストが発生します。

一方、多くのクラウドサービスは、複数の国や地域のデータセンターを利用してシステムを構築しています。数か所のデータセンターにまたがってシステムを冗長化したり、メインサイトと異なる国や地域のデータセンターにバックアップを取得したりすることでBCP対策を行っています。サービスを利用する時点でBCP対策が施されているため、BCPを検討する時間や対策を講じるコストも必要ありません。


基幹システムをクラウド化する時の課題

基幹システムをクラウド化するにあたって、次のような課題があります。他にも課題や懸念点などは事前に洗い出し対応方法を決めておくことで、より安全にクラウド移行を進めることができます。


周辺システムとの連携

個別のクラウドサービス間の連携やオンプレシステムとの連携について、互換性やサポートがないなど、思わぬ問題が発生することも少なくありません。

また、セキュリティを懸念してインターネット経由ではなく閉域網でアクセスする仕組みを採用する企業も増えていますが、PaaSやSaaSはインターネット経由の利用を前提としている場合も多いため、実現可能かを確認する必要があります。


コストの想定が難しい

基本的にクラウドサーバーは従量課金制です。従量課金制はITリソースの効率化が期待できる反面、使用量が増大して高額になるリスクもあります。事前にシミュレーションするとともに、常に使用量をチェックしてリソースの最適化を図る必要があります。


機密情報の取り扱い

クラウドサービスの場合、最も事業者の責任範囲が広いSaaSでも、データに関しては利用者の責任範囲です。クラウドには高度なセキュリティ対策が講じられていますが、アカウントが乗っ取られてしまえば簡単にデータを盗まれてしまう可能性もあります。機密情報をどのように守るか、どのような法律・セキュリティ標準に従う必要があるのかを確認しておく必要があります。


まとめ

基幹システムのクラウド化は、リスクと捉えられる一面もありますが、大規模かつハイスペックな基盤であるため、移行による成果も大きなインパクトをもたらします。IT技術の進化が加速している昨今において、古い技術を使い続けるレガシーシステムの弊害は強まるばかりです。

事例でも紹介した通り、単なる基幹システムの乗せ換えではなく、クラウドサービスが提供する最新技術を活用して、業務の効率化、運用負荷の軽減、メンテナンス性の向上といった成果を出すことが重要です。

DXや業務効率化など、経営課題の解決策という観点で注目されているのがクラウドERPです。従来のシステムは、既存の業務プロセスに合わせてシステムを構築していましたが、クラウドERPは、業務プロセスをシステムに合わせるというアプローチで業務の全体最適を実現するものです。次回のコラムでは、クラウドERPを導入するメリットとポイントについてご紹介します。

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