
システムの維持・管理に必要なランニングコストの抑え方
デジタル化やIT化が進むなか、システムの導入・活用は企業活動において欠かせません。しかし、システムは導入して終わりではなく、維持・管理しつづける必要があります。
システムを導入する際は、維持・管理に必要となるランニングコストを踏まえ、長期的な運用コストを考慮することが重要です。
この記事では、企業で活用するシステムのランニングコストの内訳をはじめ、ランニングコストを抑える方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.2種類のランニングコスト
- 2.ランニングコストを抑える方法
- 2.1.①システムをクラウド型にする
- 2.2.②システムを集約化・一元化する
- 3.まとめ
2種類のランニングコスト
システムの維持・管理に必要なランニングコストは、役務コスト・設備コストの大きく2つに分類されます。
役務コスト
役務コストとは、システムの維持管理に伴う実務に対してかかるコストを指します。具体的には、以下のような業務で発生するコストが挙げられます。
▼役務コストの例
- システムのセキュリティ管理
- 定期的な保守点検、点検スケジュールの管理
- 故障や不具合字のシステム補修・修正
- システム利用者の問い合せ対応
システムの維持管理にかかる点検・補修・監視などの役務作業をすべて人手で行う場合、作業がなくても担当者を抱える必要があり、維持コストがかかります。また、システムが古い場合、システム管理者が高齢化していることにより、人手不足につながることもあります。さらに、人材不足に悩む企業であれば、一人の担当者がシステムの維持管理にかかる複数の業務兼任する必要もあります。
設備コスト
設備コストとは、システムの活用に必要な設備に対して発生するコストを指します。具体的には、以下のようなコストが挙げられます。
▼設備コストの例
- ハードウェア保守:パソコン、サーバー、ルーター
- ソフトウェア保守:SAP、Microsoft、IBM、Oracle
- ネットワーク:回線費用、ISPサービス利用料
- データセンター:光熱費、施設費、人件費、端末機器費
自社でサーバー・ソフトウェアなどを保有する場合、各設備の購入費や使用料の支払いに加えて、光熱費、施設費といった間接的なコストも発生します。
特に、自社内にサーバーを設置してシステムを構築するオンプレミス環境の場合、サーバーやネットワーク機器の維持管理を自社で対応します。仮にトラブルが発生した場合にも自社で対応が必要となるため、トラブルを防ぐための体制構築にかかる人手や労力も必要となり、ランニングコストが増加しやすくなることが考えられます。
ランニングコストを抑える方法
役務コスト・設備コストを抑えるには、2つの方法があります。
①システムをクラウド型にする
システム運用のランニングコストを抑えるには、サーバーやソフトウェアの購入が必要なく、導入コストを抑えられるクラウド型が有効です。クラウドとは、物理的なサーバーやソフトウェアのインストールが必要なく、インターネット経由でサービスを利用できる形態です。
社内システムのクラウド化により、インターネット環境とパソコン・タブレットなどの端末があれば、いつでも・どこからでもシステムを利用できます。
例えば、社内にサーバーを設置すると、端末ごとにソフトウェアを購入してインストールするといった対応が不要になるため、機器やソフトウェアにかかる設備コストを削減できます。
また、アップデートやセキュリティ管理などの保守管理は、クラウドサービスの提供事業者が行います。これにより、システムの点検・監視といった保守管理にかかる役務コストの削減も可能です。
②システムを集約化・一元化する
販売管理・労務管理・財務管理などの業務を社内で個別に運用している場合、業務システムを一つに集約することで各システムの利用料やデータ移行にかかる費用を削減できます。
また、保守管理の方法・プロセスを標準化できるだけではなく、社内で統一したシステムの維持管理が可能です。点検・監視・修繕などの役務を効率化し、人件費を削減できます。
さらに、取引先や関係会社を含めてシステムの標準化を図ることで、更なるコストの削減が期待できます。事業環境の変化にも柔軟に対応できるシステムに統合すれば、システム再構築や追加にかかるコストも抑えられるでしょう。
ただし、システムの集約には個別管理していたシステムを最適化する必要があります。システム導入や環境構築には専門的な知識を要するため、専門家にコンサルティングを依頼すると的確なアドバイスやサポートを受けられます。
まとめ
システムのランニングコストには、保守運用の作業に対してかかる役務コストと必要な設備やソフトウェアなどの購入・利用にかかる設備コストがあります。
ランニングコストを抑えるためには、システムのクラウド化と点在したシステムを集約して一元化するといった方法が有効です。
システムのクラウド化・一元化には、新たなシステムの導入や環境構築に一次的なコストがかかります。
一方、システムの運用負荷を削減することで将来的な業務効率化や生産性向上につながり、将来にわたるコストの削減効果が期待できます。ランニングコストを抑えるために、目先のコストのみではなく、持続的なコスト削減にフォーカスして戦略的に取り組みましょう。