【情シス部長必見!】基幹システム(ERP)の入れ替えにおける2大ポイント
企業の経営活動を支える“基幹システム(ERP)”は、事業の安定化や成長のために重要な役割を担っています。財務会計・顧客管理・営業管理などの日常業務や事業計画の中核にもなるため、入れ替えには万全を期して臨むことが重要です。
また、システム構築や保守運用をベンダーに依頼している場合は、「現行ベンダーを継続利用するのは適切なのか」といった点も検討する必要があります。入れ替えの際は、ベンダー側の運用体制や管理品質についても併せて見直しましょう。
本記事では、基幹システムの入れ替えが必要になるケースや、入れ替えのポイントを失敗例とともに紹介します。現在業務に影響がないと感じている方も、ぜひご参照ください。
目次[非表示]
- 1.基幹システムの入れ替えが必要になるケース
- 1.1.ケース①既存システムの老朽化
- 1.2.ケース②グローバル対応へのニーズ
- 1.3.ケース③他システムとの連携やデータ活用
- 1.4.ケース④IPOの実現
- 2.基幹システム入れ替えのポイント
- 3.基幹システム入れ替え時の失敗例
- 4.まとめ
基幹システムの入れ替えが必要になるケース
基幹システムの入れ替えが必要となるのはどのようなケースなのでしょうか。考えられる理由には、主に4つ挙げられます。
ケース①既存システムの老朽化
数十年にわたって同じ基幹システムを利用していると、当然ながら老朽化が進みます。古くなったシステムは、ベンダーによるサポートが終了し、それに伴ってメンテナンスの停止、なかでも脆弱性の改善がされなくなってしまうといった問題が起こることがあります。
脆弱性が改善されないということは、情報漏えいに対するセキュリティリスクを高めることにつながります。一見、問題なく稼働していても、老朽化にはこのような問題が潜んでおり、基幹システムの入れ替えが必要になるケースがあります。
ケース②グローバル対応へのニーズ
事業のグローバル展開に伴い、海外拠点との連携が必要になる場合があります。海外に対応できない基幹システムを用いている、または海外と国内でのパッケージが異なっている場合、拠点間のシステム連携が難しく、横断的なデータ活用ができません。
データの妥当性を担保し、リアルタイムのデータ共有によって適切な経営判断を行うために、基幹システムの入れ替えが必要なケースもあります。
ケース③他システムとの連携やデータ活用
部署・拠点ごとに異なるシステムを用いている場合、部署全体のデータ共有や連携は難しくなります。業務フローが煩雑化してオペレーション上のミスが発生するリスクがあるだけでなく、保有データをビジネス戦略に生かせず事業成長の妨げになることもあります。
業務プロセスの合理化、データ活用による経営の高度化を図るためには、他システムと連携し一元管理できる基幹システムへの入れ替えが必要です。
ケース④IPOの実現
IPOを実現するには、上場基準への対応が必要です。上場基準に達するためには、財務・管理会計はもちろん、労務管理や予実管理など、内部統制を適正に行うことが求められます。
これらの要件を満たすためには、内部統制に適した基幹システムに入れ替えるという方針がとられるケースもあります。
基幹システム入れ替えのポイント
基幹システムの入れ替えは容易ではありません。特に注意したいポイントとして、大きく2つを解説します。
①基幹システムに合わせて業務プロセスを見直す
現代では、ビジネス環境が目まぐるしく変化し不確実性が高まっています。
ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に適応していくためには、業務プロセスや部署の体制を見直して、基幹システムの標準機能に合わせるFit to Standardの取り組みを行うことも重要です。従来の業務プロセスを変えることは容易ではありませんが、結果的に業務の効率化にもつながります。基幹システム入れ替えの際はぜひ検討しましょう。
②自社が入れ替えで実現したいことを提示する
基幹システムの入れ替えに際してはベンダーに依頼することが一般的です。
しかし、基幹システムの入れ替えによって解決したい課題・目標をベンダーと共有できていない場合、要件定義が曖昧になり現行踏襲を払拭できないケースがあります。その結果、システム導入後も業務改善につながらず、かえってコストの増加を招くことも考えられます。
ベンダーのシステム入れ替えを依頼する際は、自社の課題・目標を提示し、適切な業務環境の整備も踏まえつつ運用体制を構築することが重要です。
基幹システム入れ替え時の失敗例
過去の失敗例から学び、適切に基幹システムの入れ替えを実施することも大切です。ここでは、基幹システムの入れ替えにおいてよくある失敗例を紹介します。
①体制を整えておらずより煩雑になった
基幹システムの入れ替えにより、これまでの業務プロセスが変わることがあります。システム入れ替え後の業務体制やプロセスが標準化されておらず、かえって業務が煩雑になったり、現場に混乱を招いたりするケースがあります。
システム入れ替えの際は、基幹システムに合わせて自社の業務体制を見直すとともに、部署ごとの業務内容・プロセス・従業員数などを洗い出し、システム入れ替え後のフローをあらかじめ明確化しておきましょう。
②現行踏襲を払拭できずコストが増大した
老朽化したシステムを再構築する場合、古いシステムの知識や技術のある人材がいない、設計書が最新ではないといった問題も発生します。それにより、現状調査に時間がかかるだけでなく、企業とベンダーの間で要件のすり合わせが難しくなります。
ベンダーと入れ替えやその後の保守運用について認識齟齬が生じたままだと「必要な機能が備わっていない」「不要な機能でコストが増えた」といった失敗につながりやすくなります。
つねに最新の機能を使用できるFit to Standardを取り入れることで、これらの失敗を防ぐことが可能です。
そのうえで、ベンダーに委託する際は、「現状の問題点をどのように解決していくのか」「どの提案の費用対効果が高いのか」など、ベンダーと要件の認識が一致しているか確認することが大切です。
まとめ
基幹システムの入れ替えが求められるのは、既存システムの老朽化やグローバル対応、データ活用の促進、IPOの実現などさまざまな理由があります。
ビジネス環境の変化に対応し、スピーディーな経営判断が不可欠な現代では、経営課題や将来設計を踏まえつつ、基幹システムの入れ替えを進めることが重要です。
また、システムの入れ替えには、自社の問題点の抽出をはじめ、適切なソリューション提案やメンテナンス・保守サービスの充実が不可欠です。社内全体に影響するプロジェクトとなるため、しっかりとしたサポート体制があるベンダーを選びましょう。
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